つみたてNISAの手数料の記事に関連し、「つみたてNISAって毎月手数料を支払うの?」という誤解にも回答したく思います。
結論から述べると、つみたてNISAは上記記事でも述べたように、投資信託の信託報酬は発生するものの、毎月支払う手数料はありません。毎月手数料が引かれるのはiDeCo(個人型確定拠出年金)です。
この記事では、つみたてNISAとiDeCoの手数料体系の違いについてみていきます。よく似た2つの制度ですが、手数料の支払い方はかなり違うのです。
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つみたてNISAは毎月手数料を払いません
毎月手数料を支払うのはiDeCo
筆者は最初「つみたてNISAって毎月手数料を支払うの?」という質問を見て、「何と間違えているのだろう」と不思議に思ったのですが、どうやらiDeCoの制度と混同しているらしいということに気づきました。
ということもあって、ここでは本題から外れるものの、iDeCoの手数料体系について紹介したいと思います。
iDeCoの手数料体系
iDeCoでは、運用に際して以下の費用が発生します。
★加入時・移管時(初回申し込み時)
- 国民年金基金に支払う手数料:2,777円
- 加入先・移管先の金融機関に支払う手数料:金融機関次第
★運用時(毎月)
- 国民年金基金に支払う手数料:103円
- 事務委託先金融機関(信託銀行)に支払う手数料:64円
- 加入先の金融機関に支払う手数料:金融機関次第
この手数料はすべて、iDeCoの掛け金から控除されます。例えば、毎月23,000円を掛け金とし、金融機関に支払う手数料がゼロ円だった場合には、毎月22,833円(= 23,000円 – 103円 – 64円)で投資信託の買い付けが行なわれます。加入直後の初回支払いに限っては、20,056円(= 23,000円 – 103円 – 64円 – 2,777円)が手数料控除後の掛け金です。
このように、iDeCoでは毎月手数料が発生しますので、実際の投資信託の買い付け代金は各種手数料が引かれて残った代金になるのです。
でも、つみたてNISAは違います
しかし、つみたてNISAは異なります。つみたてNISAの場合は直接掛け金から手数料を控除されることはないのです。
★加入時・移管時(初回申し込み時)
- 原則、手数料はかかりません
★運用時
- 金融機関に支払う手数料:信託報酬から引かれます(掛け金からは控除されません)
- 口座管理手数料:ごく一部の古い証券会社を除き、無料です
なので、毎月手数料を支払うこともありませんし、金融機関ごとに手数料体系が大きく異なることもありません。ネット証券で運用を始めても、地方銀行で初めても、発生するのは投資信託特有のコスト(信託報酬)ぐらいなのです。
表にまとめると
iDeCo | つみたてNISA | |
---|---|---|
新規加入時 移管時 | 国民年金基金に支払う手数料 (2,777円) 加入先・移管先の金融機関に支払う手数料 (金融機関次第) | 原則、無料 ※筆者が知りうる限り有料の金融機関はありません |
運用時 (掛け金を拠出している時) | 国民年金基金に支払う手数料 (103円 / 月) 事務委託先金融機関(信託銀行)に支払う手数料 (64円 / 月) 加入先の金融機関に支払う手数料 (金融機関次第) + 投資信託特有の手数料 (購入手数料 + 信託報酬) | 原則、無料 ※大和証券など、対面サービスを残す総合証券で有料のケースあり ネット証券は無料 + 投資信託特有の手数料 (購入手数料 + 信託報酬) |
運用時 (掛け金を拠出していない時) | 国民年金基金に支払う手数料 (0円 / 月) 事務委託先金融機関(信託銀行)に支払う手数料 (64円 / 月) 加入先の金融機関に支払う手数料 (金融機関次第) + 投資信託特有の手数料 (信託報酬) | 原則、無料 ※大和証券など、対面サービスを残す総合証券で有料のケースあり ネット証券は無料 + 投資信託特有の手数料 (信託報酬) |
給付手数料 (将来年金を受け取るとき) | 事務委託先金融機関(信託銀行)に支払う手数料 (432円 / 月) + 投資信託特有の手数料 (信託財産留保額) | 原則、無料 ※筆者が知りうる限り有料の金融機関はありません + 投資信託特有の手数料 (信託財産留保額) |
手数料の中には直接比較できないものもあります。例えば、iDeCoは老後の年金受取に給付手数料が発生するのに対し、つみたてNISAはそもそも「老後の年金として給付を受ける」という概念がなく、投資家であるあなたの判断でいつでも解約できます(老後になる前に解約しても差し支えありません)。
ので、解約時のイメージととして比較しているに過ぎないものです。
制度的に低コストで始めやすいのが「つみたてNISA」
上述のように、事細かにコストがかかるiDeCoに対し、制度的に低コストに抑えられているのが「つみたてNISA」です。つみたてNISAは、
- iDeCoのような資金の拘束がなく、途中でやめてもいい
- 掛け金も毎月最低100円から(ネット証券)
- 金融庁認定の投資信託を選べるので、高コスト投信を間違って買ってしまう心配が少ない
等のメリットがあります。どちらを優先的に利用するか、と言われたら、筆者個人としてはつみたてNISAを先にオススメしたいです。
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まとめ
- つみたてNISAは毎月手数料を支払うことはない。毎月手数料を支払うのはiDeCo
- iDeCoは掛け金を支払っている or 支払っていないに関わらず、毎月金融機関に支払う手数料が発生する
- 制度的に低コストなのはつみたてNISAで、始めやすさ・止めやすさからもiDeCoよりオススメしたい
つみたてNISAに関心を持ったら、ぜひ以下のページもご覧になってみてください。より低コストな投資信託を選べる3つの証券会社を紹介しています。
本件に限らず、つみたてNISAとiDeCoの制度の誤解は結構あるようです。弊サイトでは、引き続きつみたてNISAとiDeCoの比較やよく誤解されるポイントの解説を行なっていきたいと思います。
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