2020年時点の筆者の資産形成は「つみたてNISA + 特定口座」の併用です。以下の考え方で使い分けています。
- つみたてNISA口座:堅実な資産の増加を狙う部分
- 特定口座:株主優待投資や高配当投資など「遊び」の部分。コア部分の調整役もこちらで買う
つみたてNISA口座で実行できるインデックス投資の長期投資の優位性は、過去の様々な研究によって証明されています。筆者もその研究例を信じています。
だから、つみたてNISAを資産形成の主軸に据え、それでも金銭的余力がある場合には特定口座を利用して運用するようにしたのです。
ちなみに、特定口座は源泉徴収ありで利用することをオススメします。そのほうが納税の手間が省ける、というか申告漏れなどのミスを避けられるためです。

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NISA口座と特定口座の使いわけを考える時に
つみたてNISA口座では購入できるものが決まっている
話の前提として、つみたてNISAでは購入できる商品が決まっていることを思い出してください。そう、主に分配金を出さない投資信託(インデックス投信)ですね。
一方、特定口座では制限なく金融商品を選択できる一方で、運用で得た利益には税金がかかります。
つみたてNISA | 特定口座 | |
---|---|---|
購入商品 | 特定の投信のみ | 一般的な金融商品 |
課税 | なし | あり 20.315%(2019年) |
「損益通算」できないことを思い出して欲しい
一般NISAもつみたてNISAも損益通算ができません。損益通算できないので、NISA口座の運用で損をしても「損失の分だけ税金を安くする」ことができないのです。
損益通算とは、一定期間内の利益と損失を相殺することです。上場株式等の投資を行って利益(譲渡益や配当など)が出た場合は税金がかかりますが、一方で損失が出た場合には利益から差し引いて、その分だけ税金を減らすことができます。それでもマイナスになった場合、確定申告を行うことで最長3年間損失を繰り越して控除することも可能です。
この特徴を考えると、NISA口座では必然的に「必ず儲かる」という言えるような商品を選ぶことになります。「それはどんな投資か」と考えた時に「インデックス投信を買う」ことを思い出します。
インデックス投資は、過去の多くの研究によって長期投資の有効性が証明されており、いわば「必ず儲かるだろう」という期待値の高い投資手法です。
故に、筆者はつみたてNISAと特定口座の併用に移りました。
ちなみに、2018年までは一般NISAを利用していたんですよ!

体験談:特定口座では何を買っているか
株主優待銘柄や高配当銘柄(一般NISAは利用せず)
特定口座では個別株式を購入しています。例えば、株主優待銘柄や高配当銘柄はつみたてNISA口座では購入できず、特定口座や一般NISAでしか買えない商品ですね。
「株主優待」や「配当金」は、投資のわかりやすいメリットですが、つみたてNISAにはそういったイベントがないんですよね。そこで、つみたてNISAと平行して優待銘柄や高配当銘柄を買おうと思ったのです。


また、TwitterなどのSNSで人気になりやすい、アメリカの高配当銘柄なども買っています。こちらは運用をすべて米ドルで行なうため、「将来の日本の国力低下に備えて外貨を稼ぐ」という考えももってやっています。
余談ですが、2019年は「楽天」の株式を売買して、つみたてNISAとは別に利益を得てました。
株式を一般NISAで買わなかった理由
個別株を一般NISAで購入する手もありますが、個人的にはつみたてNISAの利用を優先しました。おおよそ「将来は儲かるだろう」と楽観できるインデックス投信に対して、個別株は企業業績を丁寧に追っていかなければいけないため、管理が難しく、手間がかかる割にうまく行くとも限らないためです。
筆者個人は、基本的に投資にあまり時間をかけたくないと思っています。できれば楽をしてお金を増やせたら最高じゃないですか。そういう場合には、つみたてNISAのほうが良いと考えます。
債券に投資する投資信託
つみたてNISAで選択できる投資信託の多くは、株式に投資する投資信託です。「非課税額を最大化する」と考えたときに、債券に投資する投資信託は利益が限定的なため、つみたてNISAからは外されてしまったようです。


しかし、債券に投資する投資信託をポートフォリオに加えておくと、証券口座全体で見たときの値動きを緩やかにする効果を期待できます。昔の筆者は「債券不要」と思っていましたが、今はポートフォリオの10~20%程度は債券を加えても良いと考えています。なぜなら、あまりリターンは変わらないが、価格変動は抑えられるから。
実際、債券に投資する投資信託も購入し、特定口座で管理しています。
口座の使いわけを考えるときに「コア・サテライト」という考え方も知ってほしい
資産運用時に「コア・サテライト」という考え方があります。
保有する資産をコア(中核)部分とサテライト(衛星)部分に分けて考え運用すること。コア部分は長期かつ安定的に運用し、サテライト部分はコア部分よりも高いリターンを求めて積極的に運用する。コア部分とサテライト部分をバランスよく保有することで、資産全体としてのリスクやコストを抑えつつ、市場平均よりも大きいリターンの確保を目指す。
筆者の場合は、つみたてNISAがコア、特定口座がサテライトです。
- コア:つみたてNISA口座→堅実な資産の増加を狙う部分
- サテライト:特定口座→株主優待投資や高配当投資など「遊び」の部分。コア部分の調整役もこちらで買う
特にブログを書いたりTwitterをやったりする個人投資家は「つみたてNISAだけ」というケースは少なく、つみたてNISA以外にもいろいろな投資を平行してやってたりすることが多いです。その場合に、コアとサテライトという考え方を当てはめてみると、結構理解しやすかったりします。
もちろん、金銭的な余力を理由に、個別株を買ったりせずにつみたてNISAだけに専念しても良いと思います。このあたりはあくまで、個人の考え方・やり方次第です。
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まとめ
- 「損益通算できない」というデメリットから、NISA口座では将来儲かる可能性の高いものを選んだほうが良い。つみたてNISAは初心者でもおそらく利益を見込みやすい
- 特定口座で買っているものは、個別株やつみたてNISAでは買えない投資信託など
- 使いわけを考えるときに「コア・サテライト」という考え方も知って欲しい
特定口座とは違いますが、初心者の方に多い運用につみたてNISAとロボアドの併用、みたいな使い方があります。Twitterではよく見かける気がします。


余談:つみたてNISA口座と同じ銘柄を買ってもいい
つみたてNISAと特定口座で同じ銘柄を買っても問題ありません。その商品のことが気に入っている、またはSBI証券の「課税シフト注文」を使っている場合には、つみたてNISAと特定口座で同じ商品を買うケースもあるかもしれませんね。
コメント
コメントというか、質問失礼します。
2020年から、外国株等に対しての税額控除が適用されると読みました。
もし、積立ニーサの上限以上の投資をしたくて、日本の株式の投資信託と外国株式の投資信託両方を買いたい場合、日本の株式の投資信託を積立ニーサ枠で買った方がよいという事になりますか?
外国株式の投資信託に外国の税金がかかってるのかどうか、調べてもよくわからなかったので、質問させていただきました。
たかはしさま、コメントありがとうございます。
2020年から試行される外国株の税額控除は、国内の会社が運用し、海外に投資している投資信託やETFの運用で得た分配金に対して行なわれます。
端的には「分配金を出す際に、今まで二重に払っていた税金の分を安くしますよ」といった制度で、NISAやiDeCoのような非課税制度とは異なるものです。
証券業協会の資料です(pdf)
http://www.jsda.or.jp/anshin/oshirase/files/toushin_tax.pdf
つみたてNISAの場合、そもそも国内での課税がされないため、二重課税にはあたらず、この措置の対象外です。
加えて、値上がり益を狙うインデックスファンド(キャピタルゲインを狙う商品)では、そもそも分配金が出ないので、この措置とは無関係です。
(制度改正に伴い、一部の運用会社が分配金を出すようなやり方に変える可能性はゼロではありませんが、現時点ではおそらく無分配を貫くと思います)
というわけで本題です。
>外国株式の投資信託に外国の税金がかかってるのかどうか、調べてもよくわからなかった
外国株式に投資する投資信託には外国の税金がかかっています。
ですので、そのような投資信託を運用し、「分配金を得た場合には」自動的にこの税額控除の対象になります。
2020年からの措置で、分配金額が少しだけ多くなるかもしれません。
分配金の出さないインデックスファンドは、たとえ外国株で運用するものであっても関係ありません。
なぜなら控除の対象となる分配金がでないからです。
>日本の株式の投資信託を積立ニーサ枠で買った方がよいという事になりますか?
上述のとおり、分配金の出さないインデックスファンドには関係の無い話なので、この外国株の税額控除のことは気にしなくてよいと私は考えています。
日本株と外国株のどちらをつみたてNISAで買うかは悩ましいですが、個人的には外国株を優先的にNISAに入れるかなと思います。