つみたてNISAを始めるにあたって、結構手数料がかかるのでは?と思っていませんか?
結論から述べると、つみたてNISAで特に意識を向けるのは「信託報酬」です。これまでの投資信託の売買で問題になることが多かった購入手数料(販売手数料)は、つみたてNISAの制度そのものでゼロ円(ノーロード)と制限されています。また、iDeCoのように毎月管理維持費などを払う必要もありません。
ネットで有名なeMAXIS slimシリーズや購入・換金手数料なしシリーズは、信託報酬もかなり低く抑えられているのが特徴です。これらの商品はSBI証券や楽天証券等のネット証券で購入できます。あなたができるだけ手数料をかけずにつみたてNISAの運用をしたいなら、SBI証券や楽天証券等のネット証券に口座を開くことをオススメします。
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おさらい:投資信託にかかる手数料
まず、おさらいとして投資信託にかかる手数料を確認しておきましょう。
- 購入手数料(販売手数料):購入時に発生する手数料
- 信託報酬:運用期間中に発生する手数料
- 信託財産留保額:解約時に発生する手数料(厳密には手数料ではない)
- 解約手数料:解約時に発生する手数料(ただし、筆者が知る限り解約手数料を取る金融機関はない)
このほか、稀に口座管理料を取る証券会社(例えば大和証券など)もあります。しかし、SBI証券や楽天証券を筆頭に、一般には口座維持費・管理費は無料ですので、私たちが支払う可能性のある手数料は上記の4つです。
毎月手数料を払うのはiDeCo
iDeCo(確定拠出年金)では、毎月口座管理手数料や年金基金へのお金が引かれたりしますよね。でも、つみたてNISAでは、そのようなコストはかかりません。
どの金融機関であっても、購入手数料(販売手数料)は無料です
制度的に「購入手数料ゼロ(ノーロード)」と決まっています
つみたてNISA口座を通じて購入できるつみたてNISA対象投信は、購入手数料はゼロ円にすると決まっています。
長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(対象商品についてはこちら)
○例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの
- 販売手数料はゼロ(ノーロード)
- 信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
- 顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
- 信託契約期間が無期限または20年以上であること
- 分配頻度が毎月でないこと
- ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
「銀行でのつみたてNISAの手数料比較」なんて意味が無い!
つみたてNISAでは購入手数料がかからないので、「銀行でのつみたてNISAの手数料比較」なんてできないのです。だってつみたてNISA対象投信の購入手数料は全部ゼロ円なのだから。
投資信託は購入手数料を払わずとも購入できます。コスト意識の高い個人投資家さんはみんなネット証券で手数料を支払わずに投資信託を買っていますよ!
注意点:つみたてNISA対象投信であっても、つみたてNISA口座以外で買うと手数料がかかる場合も
地方銀行にありがちな話ですが、つみたてNISA対象投信であっても、つみたてNISA口座以外(一般口座・特定口座)で購入すると、購入手数料がかかる場合があります。ややこしいことに二重の価格を敷いているケースがありますので、ご注意ください。
購入手数料無料で購入できるのは、つみたてNISA対象投信をつみたてNISA口座で買った場合、です。
一方、信託報酬(運用期間中の手数料)は発生します
信託報酬は毎日純資産から引かれます
全ての投資信託は、運用期間中に信託報酬という名の運用手数料がかかります。
信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうための経費として、投資信託を保有している間はずっと投資家が支払い続ける費用のことです。ただし、別途支払うのではなく、信託財産の中から「純資産総額に対して何%」といった形で毎日差し引かれます。
この記述にあるように、信託報酬を私たちが直接支払う必要はありません。純資産の中から差し引かれますので、その分だけ基準価額の低下という形で、私たちは費用を支払います。
発生した信託報酬は投資信託の運用報告書から確認できます。以下は世界経済インデックスファンドの運用報告書から引用した費用明細です。
これによると、世界経済インデックスファンドは2018年の1年間に1万口当たり0.604%(金額にして133円)の費用・報酬がかかりました。この133円はすでに純資産から引かれていますので、その分だけ基準価額が低くなっています。
公表されている基準価額は最初から信託報酬差し引き後のものですので、ある日突然133円分下落することもありません。正直、いつ払ったか分からない形で私たちは信託報酬を支払っているのです。
信託報酬は将来の成績を唯一コントロールできる要因
信託報酬は将来も発生することがわかっているのですから、できるだけ信託報酬の低い投資信託を選ぶことで、将来の利益もある程度増やすことが可能になります。
つみたてNISAの場合、「信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定」という制限がついています。そういう意味では、つみたてNISA対象投信を選ぶだけでも十分に低コストですが、できればつみたてNISA対象投信の最低水準である信託報酬0.1~0.2%台のものを選ぶのが最良である、と言えます。
低信託報酬でよく知られている投資信託シリーズ
2019年現在、低コストの投資信託として知られているシリーズは以下の通りです。
- eMAXIS slimシリーズ
- 購入・換金手数料なしシリーズ
また、この2つのシリーズよりやや劣るものの、それでも低コストなシリーズとして
- iFreeシリーズ
- たわらノーロードシリーズ
- 楽天バンガードシリーズ
- つみたてんとうシリーズ
などがあります。
信託報酬には消費税がかかります
これは以下の記事で解説しています。
解約時に発生する手数料
信託財産留保額
信託財産留保額とは、投資信託を売却する際に、その一部を投資信託に残すためのルールです。これは手数料というよりも、残された運用者の利便性を考慮して設定されていることが多いです。
信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に投資家が支払う費用のことです。ただし、別途投資家が支払うのではなく、「基準価額に対して何%」といった形で解約代金から差し引かれます。
投資信託の種類によって差し引かれる金額は異なり、一般的には0.3%程度ですが、差し引かれない投資信託も多くあります。(中略)
信託財産留保額は、投資信託を保有し続ける投資家に迷惑がかからないようにするための費用です。なぜなら、解約して投資家に代金を支払うためには、投資信託の中の資産を売却する必要があり、そのための手数料がかかるからです。解約することによって発生する手数料ですから、解約する投資家に負担してもらう仕組みになっています。
最近は低コスト化の流れもあって、信託財産留保額を設定しない投資信託も多くなっています。eMAXIS slimシリーズや購入・換金手数料なしシリーズも信託財産留保額はゼロ%です。
解約手数料
筆者が知る限り、解約手数料を取る金融機関はありません。
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まとめ
- つみたてNISA対象の投資信託は、つみたてNISA口座で買った場合は購入手数料ゼロ円と決まっています。つみたてNISA口座以外(特定口座・一般口座)で買った場合には手数料がかかる場合あり
- 信託報酬は運用期間中に等しくかかる手数料で、つみたてNISA対象のインデックス投信は~0.5%です。eMAXIS slimシリーズや購入・換金手数料なしシリーズを中心に0.1~0.2%台のものが最近の売れ筋
- 信託財産留保額は厳密には手数料ではありませんが、解約時に発生する可能性があります
基本的に、つみたてNISAは、それまでの投資信託業界が「手数料ぼったくり」だったことを改善することも目的に作られた制度です。たとえ銀行でつみたてNISAを始めたとしても、低コストで運用できますので、安心して始めてほしいなと思います。
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