結論から述べると、つみたてNISAには非課税枠内で投資信託を買い換えるスイッチングがありません。こまめに運用商品を変えたいならば、iDeCo(個人型確定拠出年金)のほうが向いています。
ただし、そもそも運用する投資信託を細かく切り替えると、利益の最大化が難しくなります。スイッチングがないことにデメリットを感じるかもしれませんが、基本的に困ることはないので、気にする必要はありません。
では本題。
スイッチングとは、広義では投資信託を売却して別の投資信託を買うことを意味しますが、おおよそiDeCo(や保険商品など)の制度内で投資信託を売却し、別の投資信託を買うことを意味します。制度内で運用商品を切り替えるため、税金がかからないなどのメリットを享受できます。
配分変更と似ていますが、スイッチングは投資信託の「売り」と「買い」を伴います。
冒頭で述べたように、つみたてNISAにはスイッチングがないので、このあたりはiDeCoに劣ります。
ってあたりの話を詳しく解説します。
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スイッチング(投資信託のお得な買い替え)はありません
投資信託の売買はできるが、非課税枠を消費してしまう
つみたてNISAには、お得に投資信託を乗り換える特典がありません。というのも、つみたてNISAに設定された40万円の非課税枠は一度使ったら終わりで、投資信託を売却しても回復しませんし、新たに買い直すとその費用の分だけ消費されます。
「スイッチングがない = 投資信託を売れない」という意味ではありません。一度売買したら非課税枠が消費されてしまうので、iDeCoのような枠の中で自由に投資信託を売り買いすることはできない、という意味です。
購入から20年運用し続けるつもりで
言い換えると、こまめに売買する運用はつみたてNISAに向いていません。一度買った投資信託は20年運用し続けるつもりで保有すべきです。
スイッチングできるiDeCoとどちらが良い?
難しいところですが、
- iDeCo:スイッチングはできるが、iDeCoの口座内からお金を出金することはできない(売却代金は出金できません)
- つみたてNISA:スイッチングはできないが、投資信託の売却代金はいつでも手元に戻せる
といった特徴があります。
制度的にお金の拘束力が弱いのはつみたてNISAです。言い換えれば、つみたてNISAはいつでも止められます。
iDeCoは一度入金したお金は、自由に口座内で動かせるものの、原則60歳(2019年3月時点の法制度)までは出金できません。たとえ、来月お金が必要になっても、iDeCoのお金は絶対に使えません。
といった点でみれば、スイッチングがなくとも、つみたてNISAのほうが使いやすいと思います。
スイッチングがなくても大丈夫?
現時点で低コストで純資産の多い商品を選択しよう
先に述べた通り、今後20年運用するつもりで投資信託を買えば大丈夫です。スイッチングがないことによる不安事項には以下の2つがあります。
- 今後、より低コストの投資信託が登場する可能性がある
- 不人気商品で早期償還する可能性がある
つみたてNISA対象投信は、信託報酬が低く設定されており、運用利益が運用コストに食われにくくなっています。例えば、「信託報酬が0.05%下がったから乗り換えが必要か」といえば、おそらく無用で、20年運用してもそう大差ないはずです。ゆえに、現時点での最低コストの商品を選んでおけば問題ありません。
一方、後者の問題は純資産の多い商品を選んで回避します。つみたてNISAの制度開始とともに設定された投資信託の多くは純資産が少なくとどまっているため、将来早期償還する可能性があります。純資産が多い商品を選んでおけば、少なくとも人気のなさを理由にした早期償還は回避できます。
リバランスはしない or 積立額の変更でカバー
スイッチングができないと、リバランスの問題が生じますが、正直めんどくさかったらしなくても良いとは思いますね。一応、積立額の調整でバランスをとることはできますが、完璧なリバランスは難しいと思います。
なお、筆者はこのあたりの問題をクリアするため、つみたてNISAではたった1つの投資信託しか買っていません。1本だけならば、少なくとも「つみたてNISA口座内でリバランス」はしなくても良いからです。
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まとめ
- つみたてNISAには、非課税枠を消費せずに投資信託を買い換えるお得なメリットはありません。買い替えの分だけ、非課税枠を消費します
- スイッチングがない一方で、iDeCoよりもお金の拘束力が弱いので、誰でも使いやすいのがつみたてNISAの特徴
- 商品選択時でできるだけ低コストで純資産の多い商品を選ぶ。20年間付き合える商品を選択しよう
違いがややこしいですが、つみたてNISAには非課税枠を消耗せずに投資信託を買い換えられる機能はありません、という話でした。
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