結論から述べると、つみたてNISAは複数銘柄選べます。ただし、銘柄をたくさん選べばよいってわけではないので、適度な数を選ぶ必要があります。
正直なところ、つみたてNISAは1本か2本だけでなんとかなります。筆者もつみたてNISAで運用しているのは1本だけなんですよ。
商品を選ぶ際には、「どの地域のどんな金融資産に投資するか(アセットアロケーションといいます)」を考えます。そうすれば、運用に必要な本数が決まってくるのです。
以下、詳しく解説しましょう。
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つみたてNISAの銘柄数の制限はない
制度的な制限はない
つみたてNISAの制度には選ぶ銘柄の制限数はありません。ので、
- 1本でも
- 5本でも
- 10本でも
あなたの目にかなった商品を選ぶことができます。
ただし、システム的な制限はある
ただし、現実的にはシステム的な制限があるので、その制限数を超える銘柄選択はできません。
- 同じ投資信託をつみたてNISA口座内で2本以上選択できない
- 1本当たりの投資額が最大積立金額を超えると実質的に選択不可
同じ投資信託をつみたてNISA口座内で2本以上選択できない
つみたてNISA口座内で、同一の投資信託を2つ以上保有することはできません。例えば、eMAXIS slim 先進国株式インデックスをつみたてNISA口座の中で分けて買いたい、みたいなことはできないのです。
なので、
- eMAXIS slim 先進国株式インデックス → つみたてNISA
- eMAXIS slim 先進国株式インデックス → つみたてNISA
はできないが、
- eMAXIS slim 先進国株式インデックス → つみたてNISA
- eMAXIS slim 先進国株式インデックス → 特定口座
はできる
このことは、必然的に金融機関のつみたてNISA対象投資信託の取り扱い本数が、実質的なつみたてNISAの銘柄選択の上限になります。つまり、例えば三井住友銀行のように、つみたてNISA対象の投資信託を3本しか扱わない金融機関は、選べる銘柄数の上限も3本になってしまいます。
1本当たりの投資額が最大積立金額(40万円)を超えると実質的に選択不可
1本当たりの投資額が最大積立金額(年間40万円)を超えると、それ以上銘柄を選ぶことはできません。
どういうことか、というと、例えば1ヶ月3.3万円積み立てるとし、金融機関の最低投資額が1,000円だとします。この時選べる銘柄数は1ヶ月あたり33本までです。34本以上を越えると、年間の投資額が40万円を超えます(34本 × 1,000円 × 12ヶ月 = 40.8万円)ので、つみたてNISAの制度上限金額を超えてしまいます。
さすがに34本も積み立てることはないでしょうが、システム的な理由でそういった上限があることも知っておくと良いと思います。このあたりの計算は最低投資額との兼ね合いでも変わりますので、例えば毎月100円から積み立てられるネット証券なら、毎月333本まで積み立てられることになります。
実際には、販売しているつみたてNISA対象投信の数(ネット証券の場合、150ぐらい)が上限になりますね。
現実的には何本ぐらいに積み立てるのが妥当なのか
厳密には「アセットアロケーション」次第
つみたてNISAで複数銘柄を選択するときに、現実的に妥当な本数は「アセットアロケーション」で決まります。
アセットアロケーションとは、運用する資金を国内外の株や債券などにどのような割合で投資するのかを決めることをいいます。アセットとは「資産」、アロケーションとは「配分」という意味を持っています。
資産は、大きく分けて「現預金」「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」「不動産」「商品・金」など、同じような特性を持つ商品のグループを指します。アセットアロケーションは、その人の資産状況やリスク許容度、運用目的などによって人それぞれで適切な配分が異なります。
また、具体的に商品を組み合わせたものをポートフォリオといいます。
例えば、
- 国内株式 → 1本
- 先進国株式 → 1本
- バランスファンド → 1本
と割り当てたら積み立て銘柄は3本です。仮に各アセットに2本ずつにしたとしても、計6本で足ります。
そのため、つみたてNISAには何本積み立てるべきか、何銘柄選べば良いかと思ったら、まずアセットアロケーションを決めてください。そして、それを埋めるように銘柄を選んでください。
これで、本数は決まります。
アセットアロケーションなんか決められないよ!って場合は1本で良い
2019年現在、筆者オススメのアセットアロケーションは全世界株と現金の50対50の保有です。厳密には債券も加えたほうがよい(理論上は資産の値動きが穏やかになります)のですが、相場的に扱いにくさもあるため、投資信託と現金でコントロールするのも悪くないと思っています。
その際には、「eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)」という商品の保有をオススメしています。eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)はそれ一本で全世界に投資できる商品で、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」と似ています。
オールカントリーは買いか?買いなのか??https://t.co/SRuAxB9p7l#東北投信 #ブログ更新
普通の人はオールカントリーと現金を併せ持てばいいんじゃないの?って話です
— みらい@招財進寶 (@instockexnet) 2019年3月14日
eMAXIS slim 全世界株式(オール・カントリー)でも、楽天・全世界株式インデックス・ファンドでも良いですが、このどちらかの商品を買い、残りは運用せずに現金で保有しておけば、つみたてNISAは1本で済みます。
仮に両方買ったとしても2本ですね。
昔アンケート取ったら、多くは3本以内だった
#つみたてNISA やってる方。今つみたてNISA口座で何ファンド運用していますか?
— みらい@招財進寶 (@instockexnet) 2018年12月28日
- 1~3本:72%
- 4~7本:18%
- 8~15本:6%
- 16本以上:4%
総投票数:290票
たくさん買ったとしても、5本ぐらいあれば十分だと思いますが、いかがでしょうか。
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まとめ
- つみたてNISAの制度自体に銘柄の本数を規定するルールはない。ただし、システム的な制限でどうしても上限はある
- 複数銘柄を選択したいなら、厳密にはアセットアロケーションを考えよう。そうすれば、必然的に何本運用すべきか決まる
- 銘柄選びに困ったら1本でも良い。アンケート結果によれば、多くは3本以内で運用している
余談:「分散投資 = 商品をたくさん買うべし」とは限らない
ちなみに、「分散投資でリスクを分散しよう」と言われたとき、「つみたてNISAでたくさんの銘柄を保有しよう」という意味とは限らないので注意してください。「リスク分散」とはアセットアロケーションの分散(投資先の分散)であり、たくさん銘柄を保有しても、同じアセットに投資していては意味がありません。
具体的には、例えばニッセイ外国株式インデックスファンドとeMAXIS slim 先進国株式インデックスと、たわらノーロード先進国株式に分けて投資しても、この3つの最終的な投資先は一緒(先進国株式)なので、分ける意味は少ないですよ、って意味です。
この場合には、例えば、eMAXIS slim 先進国株式インデックスとeMAXIS slim 国内株式(TOPIX)を買うと、投資先が先進国株式と日本株式になるので、分散性が少し高まりますね、となります。
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