「DC年金バランス30(債券重点型)」はつみたてNISA対象投信の中でもかなり大損しにくい(リスクの低い)商品の1つです。儲けも小さくなりますが、大きな損も抱えにくい。そんな商品です。
さて、この記事では、DC年金バランス30(債券重点型)に毎月いくら積み立てたら、老後のお金はだいたいいくらぐらいになるのか、を試算します。理想的な数値を使っていますので、実際にはもう少し利益が減るものだと思って、ご覧ください。
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DC年金バランス30(債券重点型)の平均利回り
DC年金バランス30(債券重点型)の幾何学平均利回りは、myINDEXの資産配分ツールより求めています。DC年金バランス30(債券重点型)と同じアセットアロケーションは1998年8月から2018年8月までに84%値上がりしており、これを20年で実現するには、毎年平均3.1%の利回りが必要です。
- 平均利回り:3.1%
※myINDEXの過去20年(1998年8月~2018年8月)のデータに基づく
※実際には信託報酬などのコストが生じるため、実際の利回りは少し低くなります。この利回りは理想的な結果です。
この利回りはつみたてNISA対象投信の中でも最低レベルで、これより利回りの低いファンドは購入できません。以下のローリスクファンドとして紹介した4資産均等配分型の利回りや約4%台と、DC年金バランス30(債券重点型)よりも少し高めです。
積立金額別の予想利益と節税額
毎月の積立額 | 20年後の評価額 (投資元本 + 予想利益) | 節税額 |
---|---|---|
1万円 | 331万円 (240 + 91) | 約18万円 |
2万円 | 662万円 (480 + 182) | 約37万円 |
3万円 | 994万円 (720 + 274) | 約56万円 |
過去の利回りに基づく限りは、毎月3.1万円以上積み立てると、20年後の評価額は1,000万円を超える可能性があります。
65歳以降のDC年金バランス30(債券重点型)運用時の老後の出口戦略
他の記事の例にあわせ、以下2つのパターンを考えます。
- プラン1:毎月5万円を均等に取り崩したら、積み立てた資産は何年利用できるか?
- プラン2:20年間継続して取り崩すなら、毎月何円まで取り崩せるか?
いずれも「65歳以降、公的年金とDC年金バランス30(債券重点型)の売却益をあわせて、老後の生活費とする」ためのプランです。
なお、現在の統計に基づくと、高齢者夫婦が1ヶ月を生活するうえで不足する金額は6万円ほどとされています。統計はあくまで統計ですが、今回はそれを参考にこの2つのプランを考えました。
プラン1:毎月5万円を均等に取り崩すなら、何年もつ?
運用したDC年金バランス30(債券重点型)を毎月5万円ずつ取り崩した際に、何ヶ月間生活費の足しにできるか、を計算します。取り崩さない分は、さらなる将来のために継続して運用するものとし、取り崩し額が毎月5万円(年間60万円)を下回る直前のポイントを探しました。
- 毎月1万円→平均331万円:約6年
- 毎月2万円→平均662万円:約13年
- 毎月3万円→平均994万円:約23年
利回りが低い商品とはいえ、毎月2万円以上積み立てを行っていると、老後は10年~20年近く毎月5万円ずつ生活に利用できる可能性があります。
プラン2:20年間均等に取り崩すなら、毎月いくら?
運用で得た資産を65歳から85歳までの20年間で均等に取り崩すなら、毎月いくらになるかを求めたものです。
- 毎月1万円→平均331万円:225,080円 / 年(1ヶ月あたり18,756円)
- 毎月2万円→平均662万円:450,160円 / 年(1ヶ月あたり37,513円)
- 毎月3万円→平均994万円:675,920円 / 年(1ヶ月あたり56,323円)
DC年金バランス30(債券重点型)はリターンの少ない商品ですので、他の商品に比べ、老後に利用できる資産は少なめになります。もっと老後を豊かに生活したいなら、積立額を増やすか現金・預金などの残高を増やします。
なお、つみたてNISAの毎月の上限額は3.3万円なので、それ以上の積み立ては課税口座(特定口座や一般口座)での積み立てになります。両者は平行して利用できますので、投資できる金銭的余力があるならば、つみたてNISAとの併用もオススメです。
まとめるとこう
毎月1万円 | 毎月2万円 | 毎月3万円 | |
---|---|---|---|
20年後の評価額 (投資元本 + 利益) | 331万円 | 662万円 | 994万円 |
毎月5万円の解約 | 約6年 | 約13年以上 | 約23年 |
20年間の継続解約 | 18,756円/月 | 37,513円/月 | 56,323円/月 |
投資上の注意点
もしも運用に失敗したら?
ここまでは平均的に上手くいったケースを試算してきましたが、投資では「損をすること」も考えておかねばなりません。myINDEXのデータに基づくと、2008年の金融危機時に、DC年金バランス30(債券重点型)と同じポートフォリオは1年間で投資額の15.7%を失っています。この損失は、他のつみたてNISA対象商品に比べればかなり低いほうです。
もしあなたが、1年間で15.7%の損失すら「怖い」と感じるなら、
- DC年金バランス30(債券重点型)への投資額は少なめに抑え、資産の大部分を定期預金と個人向け国債で運用する
- そもそも、つみたてNISAは使わない(非課税のメリットを使わない)
のいずれをお選びください。
いずれにせよ、この試算結果を完全に信用せず、つみたてNISA以外にもお金を貯めることは忘れないでください。もともと、DC年金バランス30(債券重点型)だけでは老後対策は(おそらく)不十分ですから、他の資産もしっかり保有することをオススメします。
参考:DC年金バランス30(債券重点型)よりもリスクの低い商品(つみたてNISA非対応)
国内債券インデックスファンド等(例えば、<購入・換金手数料なし>ニッセイ国内債券インデックスファンド)がありますが、2018年現在では価格変動リスクの背負ってまで投資するほどのメリットがありません。
DC年金バランス30(債券重点型)さえ怖いと感じるなら、個人向け国債で良いと思います。
購入できる証券会社
- SBI証券
- カブドットコム証券株
- 松井証券
- マネックス証券
- 楽天証券
- あかつき証券
- エイチ・エス証券
- SMBC日興証券
- 静岡東海証券
- 東海東京証券
- 水戸証券
SBI証券や楽天証券で購入すると、ポイントが付与されるので他の証券会社よりほんのりお得です。
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まとめ
- DC年金バランス30(債券重点型)と同じアセットアロケーションの過去20年の幾何平均利回りは3.1%(実際には信託報酬などがかかるので、もっと下がる)
- 利回りが低いので、毎月2.5万円か3万円以上は積み立てよう。つみたてNISAと課税口座(特定口座など)での運用を併用しても良い
- DC年金バランス30(債券重点型)よりローリスクローリターンの商品はつみたてNISAでは選べない。これより安全性を重視するなら個人向け国債を
リーマンショックでも-15%程度の損失で済んだ点で、他の金融商品よりは大損しにくい商品と言えます。毎月5,000円ぐらいでもいいので積み立てを行っておくと、つみたてNISAの非課税メリットを生かせますよ!
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