純金に投資する商品はいずれもつみたてNISAの対象外です。一部の商品は一般NISAで購入できますので、非課税での純金投資に関心ある場合にはそちらを利用ください。
過去の実績を踏まえると、純金投資よりもつみたてNISAのほうが大きく儲かる可能性が高いです。純金投資はインフレ耐性程度の利益しか期待できないのに対し、つみたてNISAを利用した株式への投資は新たな価値の生産への投資になるからです。
純金の価格変動はつみたてNISAのリスクヘッジに使える可能性があります。資産を減らさない運用を考える上で、両者を平行して利用するのも一興かもしれません。
ちなみに、原油などの他のコモディティもつみたてNISAでは買えません。
では、詳しく見ていきましょう!
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つみたてNISAで純金は買えません
純金を投資対象とする投資信託はありません
つみたてNISAで購入できる商品は金融庁認定の投資信託のみで、純金(ゴールド)は対象外です。つみたてNISA対象の投資信託の中で、純金(およびコモディティ)に投資する投資信託もありませんので、つみたてNISAでお得に純金に投資しよう、というのは諦めてください。
一般NISAなら購入できます
一般NISAなら純金に投資するETF(金の果実)や投資信託(ファインゴールドなど)などを購入できます。それ以外にも原油(WTI原油連動投信ETF)などのコモディティも対象です。
もっとも、一般NISAのメリットを生かせるかどうかはわかりませんが・・・。
つみたてNISAのほうが儲かります
過去200年間、株式は純金よりも圧倒的に儲かった
純金投資とつみたてNISAでの投資を比較したときに、より利益の期待値が高いのはつみたてNISAです。つみたてNISAは実質株式市場を丸ごと買うようなもので、純金の過去の利回りを遥かに上回ってきたからです。
出典:ジェレミー・シーゲル著:stock for the long run(株式投資の未来)
これは長期投資を考える上で重要な研究成果で、書籍「stock for the long run(株式投資の未来)」から引用したものです。1801年に株式(stocks)、長期債(bonds)、短期債(bills)、純金(gold)、預金(doller)に投資し、その後200年後にいくらになったかを示したものです。
この図に基づくと、純金は株式よりも遥かに低いリターンで終わりました。というか、1801年に1ドルだった純金は、2006年時点でも1.95ドルの価値でした。実際にはインフレが進んでいますので、純金はインフレに負けない程度のリターンしか得られなかったことを意味します。
一方、株式は200年間で約76万ドルまで資産を増やしました。この事例はつみたてNISAのような長期投資では株式を買うべき、という論点の根拠になっています。
純金が儲からなかった理由
株式と異なり、純金そのものは一切の生産活動を行なわないからです。言い換えると、純金が新たに価値を生み出すことはないためです(黄金色に光るただの「物質」なので)。
一方、株式投資は人間の生産活動への投資であり、日々新しい価値が産まれ続けています。その価値から生み出されたリターンは株価の上昇や配当金として投資家のリターンとなり、また新しい価値を生み出すために利用されるのです。
以上から、
- 純金はインフレから資産を守る程度の値上がりしか期待できない
- 株式なら、新しい価値が生み出される分だけ値上がりを期待できる
と言えます。その上でどちらを選ぶかはあなた次第です。
つみたてNISAと純金投資を平行してもよい
なお、つみたてNISAと純金投資(純金積立)を平行してもよいと思います。純金は株価との相関性はあまり高くないため、一方が値下がりしてももう一方があまり値下がりしない可能性があります。それどころか、お互いが逆の値動きをすれば、どんな相場でも資産があまり減りませんよね。
実際に2002年から今までの金価格とWTI価格の、伝統的金融資産である株価の指標であるS&P500の価格推移を比較してみると、WTI価格とS&P500の価格連動性は比較的高いのですが(相関係数※で0.61)、金価格とS&P500の間の連動性は決して高いものではありません(同0.33)。S&Pへの石油・ガス関連銘柄のウェートが10%程度であるのに対し、金関連銘柄のウェートは0.2%に留まっているためです。ですが、このことは、投資を行う上では非常に重要な意味を持ちます。
資産運用では逆相関になる資産を組み合わせると、どんな相場でも資産全体の値下がりを防げます。日本では国内債券や純金も購入しつつ、つみたてNISAで外国株式を積み立てると強いポートフォリオを築ける可能性があります。
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まとめ
- 純金に投資する金融商品は総じてつみたてNISAの対象外です
- つみたてNISAで株式を運用したほうが大きな利益を期待できます。純金はインフレ耐性程度の利益しか得られませんでした
- つみたてNISAで株式を運用する際のリスク分散として利用できます
なお、純金を購入するための商品選びは悩ましいところです。純金は価値を生まないので、手数料が高い商品を選んでしまうと、ただお金を減らすだけになってしまうからです。
個人的には純金ETF(金の果実)をオススメします。純金を買っている、という感触は得にくいものの、もっとも低コストに投資できる手段の1つだからです。
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