結論から述べると、多くの人はつみたてNISAを通じて配当金・分配金を受け取る機会がないと思います。というのも、つみたてNISA対象の投資信託は、もともと配当金(分配金)を出さずに運用する商品ばかりだからです。
しかし、これはつみたてNISA対象投信の成績が悪いわけではありません。もともと「分配金を出さない」という方針なのです。
以下、詳しく解説します。
なお、つみたてNISAで積立設定する際には、(分配金は出ないので)再投資でも受取でも同じ結果になりますが、個人的には「受取」をオススメします。再投資の場合、たまたま分配金が出てしまうと、再投資にともなって非課税枠が消費され、端数が生じることで満額利用が難しくなるからです。
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配当金(分配金)はいつまで待ってももらえないと思ってください
つみたてNISAでは配当金(分配金)はもらえないと思ってください。
なぜ?:多くの投資信託は分配金を出さないから
つみたてNISA対象の投資信託は、その大半がインデックスファンドで、過去に分配実績の無い投資信託ばかりです。これらのインデックスファンドは配当金を分配せずに内部留保して運用するのが一般的ですので、今後もおそらく貰えないと予想されます。
つみたてNISAだから貰える・貰えないというわけではなく、そもそもお金を分配しない投資信託がつみたてNISAの対象投信になっている、というわけですね。
ほら、筆者のつみたてNISAだって、配当金・分配金の入金実績がありません。
例外もあります
ETF(上場投資信託)は分配金を出します
つみたてNISAでも購入できるETFは分配金を出しています。ETFは投資信託と少し仕組みが異なり、特定の受取方式を選ばなければ、分配金を非課税で受け取れません。
しかし、つみたてNISA口座でのETFの売買は一部の証券会社に限られるため、多くの人にとっては選択肢にならないと思います。加えて、つみたてNISAでETFを買っている人はほぼいません。わざわざつみたてNISAでETFを買うことは「みんなと違うこと」を始めるのと同義です。
一部のアクティブファンドで分配金を出しています
一部のアクティブファンドは分配金を出した実績があります。例えば、「コモンズ30ファンド」は2018年1月に1万口あたり250円の分配金を出しました(2019年は無配)。
よくある勘違い:配当金(分配金)を貰ったほうがいい?
分配金の有無は投資信託の成績と関係ない
投資信託の運用では、よく「配当金(分配金)を貰ったほうが良い or 配当金(分配金)を出すファンドが優れている」と解釈されている方がいらっしゃいます。しかし、これは間違いです。
理論上は、分配金はすべて投資信託内部に留保したままで複利運用をしたほうが最終的な利益は多くなります。小分けで再投資するよりも、まとまった金額を再投資したほうがより効率的にお金を得られるからです。
ちなみに、分配金の有無は投資信託の運用成績の良し悪しと関係ありません。例えば、つみたてNISA誕生の遠因にもなっている毎月分配型投資信託は、分配金額こそ多かったものの、軒並み基準価額が下がっていきました。私たちは自分が貰えるものに目を向けがちですが、投資信託の運用では「基準価額の上昇 + 分配金額 = 私たちの儲け」に目を向けることが大切です。
もしも分配金を貰ったら
つみたてNISAなので非課税で受け取れます
もしも分配金を貰ったら。
つみたてNISAでは、分配金も非課税ですので、課税されることなくもらうことができます。
各年に購入した投資信託を保有している間に得た分配金と、値上がりした後に売却して得た利益(譲渡益)が購入した年から数えて20年間、課税されません。非課税で保有できる投資総額は最大800万円となります。
分配金を受け取るだけなら、非課税枠は消費されません。極端な話、1万円投資して、1000万円の分配金を受け取ったとしても、非課税枠800万円は投資した1万円の分しか消費されません。
再投資すると非課税枠は消費されます
受け取った分配金を再投資すると、その再投資額に応じて非課税枠が消費されます。例えば20万円積み立てて1000円の分配金を貰い再投資した場合、残りの非課税枠は199,000円になります。分配金を再投資することでその年の非課税枠を超えてしまう場合には、再投資はおこなわれません。
よくある質問:つみたてNISAでは再投資を選ぶべき?
投資信託の積み立てを設定する際に、分配金を受け取るか再投資するか選択できます。これはどちらを選んでも良いのですが、「分配金を受け取る」をおすすめします。勝手に再投資されて、非課税枠が消費されるのを防ぐためです。
個人的な話:積み立てと配当目的の投資を同時に行なう
ここまで述べたように、つみたてNISAでは分配金目的の投資はできませんが、つみたてNISAでの運用と配当を目的とする投資を平行して実施することは可能です。筆者の場合、配当金・分配金目的の投資は特定口座を利用しており、つみたてNISAを利用しながら配当金を受け取っているのです。
以下の画像は株主優待の例ですが、高配当株投資なども同じで、特定口座で購入します。
出典:筆者作成
例えば、楽天証券の場合、つみたてNISAで積み立てた投資信託の残高に応じて楽天スーパーポイントを貰えます。この楽天スーパーポイントを使って国内株式を買えますので、つみたてNISAと同時に配当金の高い株式を買っていくのは理に適っているんです。
公式サイト 楽天証券
「配当金・分配金がないからつみたてNISAはやらない」のではなく、「つみたてNISAと平行して、高配当株なども買ってみよう」という考えで、運用してみてはいかがでしょうか?というお話でした。
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まとめ
- つみたてNISAでは配当金(分配金)はもらえません。大半のつみたてNISA対象の投資信託は分配金を出さずに運用する方針のため
- ただし、分配金を出しているファンドも少量ある。ただ、分配金の有無は投資信託の成績の良し悪しを示さないため、それだけを理由に投資信託を選ばないで欲しい
- 積み立てを設定するときは、「再投資」でも「受取」でもいい。分配金は出ないので結果は同じ
つみたてNISAそのものは配当金を受け取る目的では使えませんが、つみたてNISAと平行して高配当株を買ったりすることは可能です。「配当金を貰いつつ、毎月積み立て」というのはいかがでしょうか。
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