結論から述べると、純資産10億円以上が1つの目安です。厳密には発行口数が10億円以下(1口1円の時に資産10億円に相当)の投資信託は、運用途中で繰上償還の可能性があります。
また、毎月純資産の増えている投資信託を選ぶようにしましょう。毎月純資産の減っている投資信託はなんらかの問題を抱えていることも多く、将来の運用に不安を抱えます。
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目安は純資産が10億円以上
多くの投資信託は10億口以下で繰上償還できる
個人的に考える、つみたてNISAの投資信託を選ぶ際の純資産の目安は10億円以上です。
一般に、投資信託は特定の条件下で早期に運用をやめられる条件(繰上償還(くりあげしょうかん)のための条件)が決められていることが多いです。たとえ、「無期限」の運用期限を標榜していたとしても、何らかの問題がある場合には、繰上償還されることがあります。
ファンドの運用資産が少なくなり効率の良い運用が難しくなった場合やファンドの投資目的を達成した場合などに、あらかじめ信託約款に定められた規定に基づき、信託期間の途中で運用を中止し、償還する(受益者(=ファンドの保有者)に受益権の口数に応じて信託財産を返還する)ことです。
そして、その繰上償還の条件の一例が、「発行口数10億口以下が長く続いた場合」なのです。
SBI・バンガード・S&P500・インデックス・ファンドの場合
投資信託は設定当初、1口1円(1万口あたり1万円)からスタートします。つまり、10億口とは基準価額1万円のときに純資産10億円を指すもので、ざっくりと10億円以下の投資信託は発行口数が10億口未満と概算できるのです。
実際にはもう少し資産があったほうが良い
30億円以上を推奨する書籍もある
純資産の少ない投資信託は、満足に株式や債券などを購入できないため、目標とする運用を実行できない場合があります。そのため、できれば10億円以上あったほうが安心です。
やや古い書籍ですが、「入門投資信託のしくみ」では30億円以上の純資産を持つ投資信託を推奨しています。というわけで、10億円から30億円程度が1つの目安と考えて良いと思います。
上級者向け:大手運用会社の投資信託は巨大なマザーファンドを持っていることが多い
例えば、三菱UFJ国際投信やアセットマネジメントOne(みずほ系列)のような大手の運用会社は、複数の投資信託(ベビーファンド)から同一のマザーファンドに資金を集めて運用していることが多いです。そのため、投資信託の純資産が少なくとも、巨大なマザーがあるために問題とならないケースも多々あります。
そのため、基本的には繰上償還の可能性が残る10億円(厳密には発行口数10億口)以上であるかどうかをチェックしたほうが良いと思います。
純資産10億円以下はどのくらいあるか
2019年12月16日現在で、SBI証券で扱うつみたてNISA対象の投資信託153本のうち、純資産10億円以下のものは42本でした。30億円まで幅を広げると71本となり、約半数の投資信託が条件から外れてしまいます。
純資産は増えているものがいいよ
純資産は毎日流動的なものです。また、多くの投資家が積み立てるほど、長い目でみれば増えていく傾向にあります。そのため、現在の純資産が10億円以下であっても、毎月資金流入のある投資信託は、将来的には資産が増えて繰上償還のリスクもなくなります。
例えば、SBI証券なら、投資信託の毎月の資金流入量をチェックできます。
SBI証券でチェックできるひふみプラスの資金流出入
これはひふみプラスの資金流出入ですが、テレビで人気になった2017年以降に資金流入が増えたものの、最近は資金流出が続いていることが分かります。こういった資金流出の続く投資信託は将来の運用にも不安が残ります。
一方、以下はeMAXIS slim 先進国株式インデックスの資金流出入です。
SBI証券でチェックできるeMAXIS slim 先進国株式インデックスの資金流出入
このように、毎月資金が入っている投資信託は安心ですね。
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まとめ
- 純資産で選ぶ際の目安の1つは10億円以上。一般的に投資信託は発行口数10億口以下で繰上償還できるため
- 安定運用のためには30億円以上あった方が良いとする書籍もある。ただ、多くの投資信託はより純資産の多いマザーファンドを持っているため大丈夫なことが多い
- 純資産が毎月増えている投資信託を選ぼう
個人投資家に人気の商品(例えばeMAXIS slimシリーズなど)は純資産が100億円を超えているものも多いですね。こういった商品を選んでおくと「みんなと同じ」で安心できると思います。
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